世紀東急の独禁法違反について(処分決定済の案件)
世紀東急は2015年1月以降、5件の独占禁止法違反の調査を受けています。うち3件については排除措置命令(※)・営業停止処分などの措置を受けています。また、残りの2件については現在、最終的な処分を待っている状態です。
※排除措置命令とは、違反行為を排除するために取締役会で再発防止を決議し、コンプライアンスを徹底することなどの命令のこと
公正取引委員会の立入検査(処分を受けた3件について)
世紀東急が受けた処分について
- 2016年9月6日、①について、独占禁止法に違反する行為があったとして、公正取引委員会より排除措置命令(リンク)
- 2016年9月21日、②について、独占禁止法に違反する行為があったとして、公正取引委員会より排除措置命令(リンク)
- 2016年11月17日、①及び②について、国土交通省より45日の営業停止処分(リンク)
- 2018年3月28日、③の東京港埠頭株式会社が発注する舗装工事の入札について、公正取引委員会より2,808万円の課徴金納付命令(リンク)
- 2018年6月7日、③の東京都、東京港埠頭株式会社及び成田国際空港株式会社が発注する舗装工事について、国土交通省より30日の営業停止処分(リンク)
公正取引委員会の処分が決定した案件に対する世紀東急の対応
公正取引委員会の処分が決定した案件に対し、世紀東急は以下の措置を講じています。
2016年3月25日、『独占禁止法順守に向けた再発防止策について』を発表(リンク)
2016年9月14日、取締役報酬の自主返上を実施(リンク)
- 代表取締役社長 報酬月額の30%(3ヶ月間)
- 代表取締役専務執行役員 報酬月額の30%(3ヶ月間)
- 取締役常務執行役員3名 報酬月額の10%(3ヶ月間)
課徴金を支払い、かつ営業停止などの措置が取られた案件について、役職員に対する損害賠償請求はおこなわれていません。理由としては、以下の通り、リニエンシー制度(※※)を利用するためであると、株主総会において世紀東急は説明しています。
※※事業者が自ら関与したカルテル・入札談合について、その違反内容を公正取引委員会に自主的に報告した場合、課徴金が減免される制度のこと。海外の同種制度にならってリニエンシー(leniency)制度とも呼ばれる。
独禁法違反に対する対応について
(2018年6月株主総会における質疑応答より)
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当社は民事上の損害賠償は行わないのか。すなわち、会社ぐるみではなく、当社の担当者が行った法令違反により当社が損失を被ったのであれば、当社はその担当者に賠償請求をするべきではないか。
当社の取締役会が善管注意義務を果たすならば、違法行為を行った役職員に対し、損害賠償請求を行うべきだと考えられるが、取締役の職務執行を監査する立場で、どのように考えるか。
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常勤監査役より:カルテルについては、まだ公取委が調査中である。NEXCO 東日本と東京港埠頭
の件は、リニエンシー制度を利用するために従業員の協力が必要であった。このため、損害賠償請求はしていない。取締役会の判断は適正なものである。
議⾧(社長)より:課徴金減免申請が重要であり、それには迅速な事実確認が必要。社内処分を恐れて違反行為を話さないと困る。このため、会社の利益等に鑑み、課徴金減免の権利を得るために、免責を条件に従業員に協力してもらった。
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今の話は、NEXCO 東日本と東京港埠頭の話と理解して良いか。(議⾧:そうだ)従業員にリニエンシーの協力を要請するとしても、何らの損害賠償もしないのはおかしいと思う。私は、その従業員を破産させろとか虐めろと言っているのではなく、損害賠償請求はすべきではないかと言っている。結果として和解して僅かの金額しか支払われなくても、会社として適正手続きを踏むべきだ。
アスファルト合材の(カルテルの)件については、大きな損失の発生を見込んでいることもあり、今後の判断があり得ると考えて良いか。
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まだ公取委が調査中でもあるので。